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小諸市の「株式会社セルコ」が「八十二銀行」と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の融資契約を締結! ☆1億円の資金調達を行う。

テーマ:小諸市ニュース

【コイルを持つ小林社長】

 小諸市御影新田の株式会社セルコは3月、八十二銀行と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の融資契約を締結し、1億円の資金調達を行った。
 この融資契約は小諸地域では初。

 同社はコイル製造やその周辺機器製造、高密度コイルの開発などを手掛ける。
 従業員数は役員を含めて44人。
 社長は小林靖知社長(43)。
 中国に高密度・高性能コイルの量産を行う関連会社、タイに日本国内品質による大量生産ができる協力工場がある。

 調達資金の主な使用用途は、自動化を踏まえた本社設備投資を中心とする事業運営。
 本社の主な業務は試作開発で、継続して技術向上に取り組んでいる。
 さらに並行して自動化を推進。量産を見据えて事業展開するためには自動化が必須という。
 背景には、難しい工程も自動化する企業の存在や、円安や輸送費増などに伴う海外生産状況の変化がある。
これにより業界では、国内での量産化の流れが進むとみられ、対応する必要がある。

 小林社長は「試作開発は続ける必要があり、イノベーション創造に常に取り組んでいる。そうでなければ技術が遅れてしまい、ニーズをいち早く取り込まなければ時代においていかれる。その中でどういう自動化をするかを考えなければいけない」と話す。

 今回の融資に伴う外部評価では、コイル製造事業に加え「良好な労働環境」や「環境負荷軽減」「地域社会への貢献」が認められている。
 労働環境は「働く人の幸せを考えた環境作り」がモットー。
 有給休暇や育休・産休を取りやすくするとともに、時間外労働を、ほぼ無くす体制を整えてきた。
 また、労働安全衛生や従業員の健康維持などにも取り組んでいる。

 環境負荷軽減は、企業利益に直結する事業を中心に進めている。
 ●●●●なエコ活動を行うのではなく、社会のニーズや方向性に沿った自然なエコ活動を取り入れることを重視してきた。
「自社の使用電力削減」
 自社の使用電力を「太陽光発電」で賄う電力の地産地消。
 「購入電力における再生可能エネルギーの導入」「公共施設の屋根を借りた太陽光発電事業」
  ーなどを行い、二酸化炭素排出実質ゼロに大きく貢献している。

 地域社会の貢献では地元小学校への楽器寄贈や地域イベントの協賛などを行い、地域との連携や協調を強化。
 また、市内中学校の職場体験を受け入れており、地域雇用創出に寄与している。

 小林社長は今後の会社作りについて「従業員が物と心ともに幸福な人生を歩める会社を作っていく必要がある」。
 事業方針について「高密度コイルを世の中の常識にしていきたい。そのためにお客様のソリューションパートナー、お客様と一緒に問題を解決していく会社が目標」と話す。

◇ ◇
 ポジティブ・インパクト・ファイナンスは、国連が「2030年SDGs目標達成」に向けて作った世界共通の融資商品。
 企業活動が環境、社会、経済などに与える影響を包括的に分析し、ポジティブな影響の増大とネガティブな影響の減少に向けた取り組みを支援する融資手法。
 八十二銀行とセルコの契約における「一般財団法人長野経済研究所」の評価書では、セルコの働きやすい労働環境の構築、高性能コイルの安定的な生産と供給、イノベーション創造への貢献、環境負荷軽減などが評価・分析されている。