<トップインタビュー⑩> 長野計器㈱=本社・東京、工場・上田市= 佐藤正継社長(68)「水素・アンモニア利用」の市場に注力!
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「圧力計測分野でのトップ企業として世界で1番精度が高いよりよい製品を開発、製造をしなくては世界一の圧力計測器メーカーとは言えない」という思いを基本に経営計画を着実に実行する、長野計器㈱の佐藤正継社長。
東京に本社を構え、圧力計や圧力センサを中心に各種センサなどの精密機器を開発、製造、販売する。新たな飛躍を目指す成長戦略を聞いた。
―業績概要
第2四半期の連結業績は売上高が前年同期比で32億3900万円の増収となり、297億5000万円と過去最高の売上高となった。
原材料価格の高騰による原価率の上昇、販売費、一般管理費の増加があったものの経常利益、純利益ともに前年同期比を上回る結果だった。
―成長戦略
〈4つの成長戦略を展開〉
1・既存事業の競争力強化
今期は「FA空圧用圧力計」の生産ライン構築と圧力センサ増産に向けた設備投資などを進めている。
今後注力する市場は、新エネルギーとして期待が高まる「水素・アンモニア利用に関わる市場」。この分野は市場の動向を注視しながら全て対応する。「半導体産業」は米国グループ企業アッシュクロフト社を介して米国、欧州へも展開するなど生産性の向上を図るため新たな市場のニーズに応えていく。
2・グローバル戦略の強化
アッシュクロフト社のメキシコ工場で圧力計と温度計の生産を2021年から開始した。半導体、産業機械向けの圧力センサを現地生産することで5年後の売上高を50億円増に拡大。
ゆくゆくはメキシコ、中国、ヨーロッパで圧力センサを生産し、ワールドワイドに展開したい。
3・新たな事業領域の拡大
我が社は極限環境における圧力計測技術の確立に取り組んでいる。
その第1弾として2022年4月、業界初の「光学式圧力センサ」を搭載した新製品を投入。
光学式による新たなセンシング技術を活用し、400℃の高温環境で、高精度に圧力を計測できる光学式溶融樹脂圧力・温度センサ「KF10」を発売。
極低温から超高温の環境下においても安定した圧力計測ができるセンサとしてあらゆる産業に対し、新たな用途の提案が可能になった。
4・経営基盤の強化
競争環境の変化に打ち勝つための経営基盤の強化と環境保全活動、社会貢献を両立した経営を進めていく。
環境問題にも長年取り組んでいるが、更に活動を強化し、環境管理に携わる人材育成もしていく。
―新しい中期経営計画
2023年度からは新しい中期経営計画をスタートさせる。
今年5月を目途に発表する。
今回の中期経営計画は出来るだけ具体的に策定し、明確な内容にする。
例えば半導体業界向けであればユーザに対してどのような製品をどれくらい、いつ、どのような形で提供するのかなどを想定して抽象的な計画からもう一歩進んだ、より具体的な計画にしようと思っている。