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<トップインタビュー⑭> (株)ユウワ=小諸市西原= 渡辺稔社長(51) 「ベトナム工場に新棟、複合的視点で事業展開」

テーマ:ひと

 

 小諸市西原の株式会社ユウワは、プラスチック成形用金型設計・製造、プラスチック成形加工などを手掛ける。高度な金型加工技術を有し、さまざまな用途で使われる小型精密プラスチック部品などを生産。
 小諸市、中国、ベトナムに拠点があり、グローバルにものづくりを展開する。2020年にはベトナムに富士フイルム株式会社とユウワの合弁会社が設立された。

 ─事業の強み
 金型は、±1ミクロンの精度を維持する高い技術力を持つ。
また、金型部品を生産するNC加工機は月700時間以上の夜間休日無人運転が可能で、24時間稼働する成形機と共に、効率的な大量生産体制が整っている。

 ─工場新棟について
 今年夏頃、ベトナム第2工場の敷地内に新棟が完成予定。
これまで当社は、部品販売を主事業としてきたが、新棟には装置の組み立てラインも構築する。
既存事業は引き続き進めていくが、部品の付加価値だけに頼った戦略では、今後の競争に対応できない可能性もあり、複合的な視点で事業展開を考えたい。

 ─社会情勢の影響と業績は
 今期のグループ売上は前期に比べ10%以上増の150億円以上を見込む。
前期までは「新型コロナウイルス感染症」が、業務を滞らせたが現在は回復した。成形材料不足もずいぶん解消されている。
 今期の業績は多少改善しているが、昨年夏ごろからスマートフォン市場関連の伸びが鈍化している。
スマホ市場は熟成してしまったように考えられるため、医療や自動車などそれ以外の分野にも改めて目を向ける。
 このほかの影響として、ゼロコロナ政策撤廃により中国経済が動き出すと、当社の事業も良い方向に向かうと考えられる。

 ─人材活用の考え方は
 全国的な人手不足が影響し、特に理工系人材がなかなか採れない現状がある。
女性や海外人材の活用は、これまで同様に続けていく。
こうした中、場合によっては文系人材が、可能な範囲の技術系業務を担うことができるように、業務の平準化を進めてきた。

 ─将来を見据えた人材発掘は
 魅力ある会社づくりを進めながら、当社としても信州の魅力をアピールして、地域に人を呼び込むことが必要。
 また昨年、子どもたちに地域企業への興味を持ってもらおうと、社会見学開催を呼びかけた。
実際に軽井沢町の小学校が見学に来ることになり、社員は3週間ほどかけて準備し、楽しんでもらえるように努めた。
当社の事業内容に加え、企業の海外展開と現状、社会問題への対応なども学んでもらえた。
 地元企業を知る活動を、地域で盛り上げていくことで、県外へ出た人が戻ってくるなど地域活性化につながるのではないか。

 ─環境などSDGs推進の取り組みについて
 10年以上前から環境問題を重要視している。2021年7月から、本社工場の全電力を県内水力発電由来の「信州Greenでんき」に切り替え、脱炭素の活動を進めている。
また、昨年4月、本社工場隣に「友和の森」を作り、森林整備活動を始めた。
地球環境を守り、地域に暮らす人の幸せを願う活動につなげたい。

◇  ◇

 従業員数は、小諸市西原の本社、成型工場、金型技術センターが230人。
 中国拠点が430人。
 ベトナム拠点が1300人。