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上田市別所温泉を拠点とする「信州上田里山文化推進協会」が「マコモを原料とした和紙作り体験」を行う! ★長和町の「信州立岩和紙の里」で

テーマ:上田市ニュース

【マコモ和紙を作る参加者】
【乾燥させる前のマコモ和紙】
【マコモ和紙(資料写真)】

 上田市別所温泉を拠点とする非営利一般社団法人「信州上田里山文化推進協会」はこのほど、イネ科植物の「マコモを原料とした和紙作り体験」を、長和町古町の「信州立岩和紙の里」で行った。

 マコモ和紙体験は4回目で、学生や上小地域住民、長和町地域おこし協力隊ら約10人が参加。

 実施目的は、古事記や日本書紀にも登場し、聖なる植物と呼ばれるマコモの普及。
 宗教的な役割に加え、薬用やデトックス、水質や大気浄化など様々な有用性があると言われている。
その魅力をより広く伝えたい考えという。

 今回、作ったマコモ和紙は、一般的に和紙の原料となる「コウゾ」の全て、もしくは半分をマコモに変更したもの。
 和紙の里には、コウゾによる和紙作り・紙すき体験の設備があり、この手法と道具を応用して作業した。

 紙作りの方法はまず、体験用の木枠に原料の溶け込んだ液体を流し入れ、木枠を複数回傾けて水分を抜く。
 この工程を繰り返すことで、繊維が絡んだ層が重なり一定の厚さになる。
 これを陰干しで時間をかけて乾燥させれば完成。マコモの緑色や繊維の質感を残した、独特な和紙に仕上がる。

 昨年に続いて参加した、長野大学環境ツーリズム学部の福田ららさん(2年)は、サークル活動がきっかけでマコモに触れるようになった。
 今回の体験では、7枚のマコモ和紙を作り、数枚には浮き出る模様を付けた。マコモの魅力について「作ったものはいい匂いがするし、飲用すれば美味しい。マコモの性質にあやかって強くなりたいと思う」と話していた。

 同法人代表理事で長野大学非常勤講師の松田和彦さんによると、活動拠点の古民家「暮らしの四季」では、マコモ和紙を障子紙として使用。あわせて、マコモ茶やマコモゴザの商品化を手掛けるなど、活用を始めている。「マコモは広く分布し存在は認識されているが、活用方法や効能などを知らない人も多い。広く周知していければ」と話していた。

 ◇ ◇

 同法人は別所温泉を拠点にと、アグロフォレストリーの考えに基づき活動。
 目的は、地域住民とともに、若者、移住者、女性などこれまで活躍の場が少なかった人々が集い学ぶ場づくり。
 そして、自然と調和して暮らしてきた里山文化を伝承して、里山資源を活用した持続可能な社会へ向けた新しい発想の活動を創発。
これを通じて地域課題を解決し地域を活性化する「人づくり、地域づくり」につなげる。

 具体的に進めていることは、里山の荒廃林に手を入れ、木材資源を用途に応じて加工。
建築物から燃料にまで余すところなく活用するソーシャルビジネスの仕組みづくり。

 長期的な目標は、木の活用の仕組み構築により「里山を美しく市民が入れる森林として持続的に利用できるようにすること」。