上田市別所温泉の倉澤運平氏の蚕室を「文化財登録」に! ☆蚕都上田を支えた貴重な「蚕業遺産」
テーマ:上田市ニュース
上田市別所温泉の温泉街の一番奥の突き当たりの石垣の上に建つ”ひときわ目を引く建物”がある。
これは日本の産業を支えた蚕種製造家である倉澤運平氏(1866~1934)が大正5年に建築した木造3階建、地下1階地上2階+地下室の蚕室。
蚕都上田を支えた貴重な蚕業遺産として「文化財登録」が進められている。
この蚕室は一昨年、相続人の事情により売りに出されようとしていた。
建物の歴史的価値を知らない人の手に渡れば壊されてしまう可能性があると、歴史研究者や、倉澤家の菩提寺、安楽寺の前住職(東堂)若林恭英氏らが中心になって「里山教育機構株式会社」を設立。
建物を買い取り、若林氏が代表取締役に就任した。
◆倉澤運平の蚕室

蚕室は、蚕を量産するための知恵と工夫が施されている。
地下で薪ストーブを炊き、温めた空気を1階に送り、蚕種を孵化させ、成長した蚕を2階で育てるという温熱を上階に送るシステムを構築。
これにより蚕種を夏秋に孵化させることに成功、蚕種を量産へと導いた。

運平の蚕種業界での最も偉大な業績は、品種改良にある。
蚕は夏蚕、秋蚕と呼ぶが、このうち特に秋蚕の製造に特化。
長野県指定の新品種である「二化性(年間に二世代を繰り返す性質)新白」を生み出した。
量産と新品種の成功は蚕種産業を大きく前進させることとなった。
また、良質な桑の品種改良も進め、蚕室の脇を流れる川の水を利用した地下保存庫に、桑の葉を保存していた。
天井部分の木は焼いて腐食防止を施した。
◆風穴で蚕種を保存

病気に強く高品質な糸質を生む蚕を育てるため、別所温泉の裏山の夫神岳中腹に築いた洞窟から出る冷風で、蚕種を保存するために天然の冷蔵庫「風穴」を築き、「別所風穴株式会社」を興した。
さらに地域に蚕種製造や養蚕の先進的な技術を普及。別所温泉地域での養蚕業の振興に貢献し、その結果得られた富により、別所温泉や上田の反映がもたらされた。
母屋裏の土蔵には江戸時代からの倉澤家の家政や地域の養蚕の様子を伝える古文書も数多く残されている。
◆プロジェクトの活動

里山教育機構(株)の若林社長や同社専務取締役で上越教育大名誉教授の下里俊行氏(上田市在住)らが中心となって、歴史的に価値の高い蚕室を保護・継承し、文化財に登録したいというプロジェクトが活動を始めた。
昨年10月に一般公募していた「倉澤運平蚕室の活用アイデア」の初表会を別所温泉のあいそめの湯ホールで行った。



