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農林水産祭「優秀農林水産業者に係るシンポジウム(美しい棚田 稲倉~眺めるだけでない、カカワレルタナダ~)」が開催! ★「農林水産省」と「日本農林漁業振興会」が上田市の上田高砂殿で。

テーマ:上田市ニュース

【パネルディスカッション】
【福与教授の審査などの説明】
【返却した天皇杯に代わりレプリカなどの展示】

 農林水産省と公益財団法人・日本農林漁業振興会はこのほど、令和4年度(第61回)農林水産祭「優秀農林水産業者に係るシンポジウム(美しい棚田 稲倉~眺めるだけでない、カカワレルタナダ~)」を、上田高砂殿で開いた。
 会場を埋める大勢の参加と「オンライン配信」があり、農林水産祭で天皇杯を受賞した稲倉の棚田を保全する取り組みや、今後の展開について話し合った。

 冒頭で農水省関東農政局の信夫隆生局長が、稲倉の棚田保全委員会に受賞の祝辞を述べた。
 「棚田で農業経験だけでなく、創意工夫でイベントを思い切って行う場としても活用され、先人が培った地域の財産を未来につげるプロジェクトになっている」とあいさつした。

 農林水産祭の中央審査委員会むらづくり分科会主査の福与徳文・茨城大学教授が、どのようにして天皇杯に選ばれたかの課程と評価を解説。
 
★むらづくり部門の審査基準として
 ▽自主的な努力と創意工夫
 ▽合意形成
 ▽推進体制の整備・運営
 ▽地域農林漁業の振興とその担い手の育成
 ▽豊かで住みやすい農山漁村の建設への寄与―を上げた。

★稲倉の棚田の評価ポイントとして
 ・減農薬栽培で天日干しした棚田米の販路
 ・棚田オーナー制度、酒米オーナーで都市住民の会員が増加
 ・農閑期を使った棚田キャンプや参加型イベント「ししおどし」
 ・市が整備した滞在型市民農園の指定管理
 ・市内外の学校の農業体験受け入れ
 ・ビオトープとして生物多様性を学ぶ授業
 ・保全委員会を地元住民や地域団体の代表で構成
 ・外部からの委員も募集、参加、きちんと引き継がれていること
 ・地域防災機能もつながっている―とした。

 業績発表で、受賞した稲倉の棚田保全委員会の久保田良和委員長と玉﨑修平事務局次長が行った。
 棚田の歴史や地形の解説。
 地元自治会だけでなく旧村単位の豊殿地区全体で組織として保全に取り組んでいること。
「かかわれる棚田」を重視し、3種類のオーナー制度や学校の体験受け入れ「ししおどし」、棚田でキャンプ、焼き芋ーなどのこれまで。
 今後、行う「泥んこASOBI」などイベントなどについて説明。

 オーナー数は年々増加し、平成18年に13組だったが令和4年に133組に増加しているなどの成果も語った。

 パネルディスカッションには、コーディネーターで福与教授、久保田委員長と玉﨑事務局次長、中央審査委員会委員の畠山智之さん、土屋陽一上田市長、信州大学農学部の内川義行准教授が登壇した。

 冒頭で久保田委員長は、今月3日に皇居で天皇皇后両陛下に拝謁した様子を報告。
 天皇陛下から、ご質問があり、棚田の歴史や水利について回答。
 皇后陛下からは愛子さまが、田植え体験されたことの、お話しがあり、久保田委員長は、稲倉の棚田に来ていただきたいと語ったという。

 パネルディスカッションでは、棚田の保全、活動の原動力、活動の展開などでを行い、会場からの質問にも答えた。
◆活動のベースになっいる保全活動のため
 ・人集めと予算についての工夫と努力
 ・省力化が可能なかぎりできる農業機械が直接入れる棚田の数を増やす「基盤整備」の必要性
 ・行政側のサポートや地域全体の活性化
 ・他の地域から保全にかかわる人への感謝と継続して参加してもらうため楽しく行うための試行錯誤―などが話し合われた。

★今後の展開として
 棚田米の生産量や質の向上
 訪れる人のニーズに応えるイベント
 青少年育成
 農福連携
 令和6年に全国棚田サミットの開催―などが上がった。