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上田市の藤本蚕業のデジタルアーカイブサイト「藤本蚕業デジタルコモンズ」を開設! ★長野大学企業情報学部の前川道博教授(63)が代表の市民有志「藤本蚕業プロジェクト」

テーマ:上田市ニュース

【デジタルアーカイブサイトと左から前川教授、竹中さん】
【上田小県近現代史研究会が整理した
藤本蚕業歴史館の保管庫に並ぶ史料】
【外観】

 近世から近代にかけて日本の基幹産業であった蚕糸業の蚕種製造を牽引した我が国を代表する上田市上塩尻の「藤本蚕業」。
同社に現存する膨大な史料を全国から常時アクセスできるよう、デジタルアーカイブサイト「藤本蚕業デジタルコモンズ」が開設された。

 開設したのは長野大学企業情報学部の前川道博教授(63)が代表を務める市民有志でつくる「藤本蚕業プロジェクト」。
 同プロジェクトは、1908年以後の藤本蚕業所蔵史料の目録を完全データベース化。
 文書のデジタル化を図り、全国から常時アクセスできるデジタルアーカイブサイトとして公開した。

 同社に所蔵する史料は、2003年から6年かけて上田小県近現代史研究会が整理、目録化したが活用されないまま現在に至った。

 同プロジェクトは、1万点を超える全史料の7%にあたる約800点を1年かけてデジタル化。
 見たい史料を検索できる目録や歴史館の「バーチャル(仮想)空間」を掲載。
 史料がどこにあるか歩き回って史料を取り出すことができるようにした。

 前川教授は「全国的に例のない蚕種製造を裏付ける第一級の史料が現存するが、社会はデジタル化が進展し、所蔵品の物理的な展示や紙媒体の情報提供では社会のニーズに応えられない。今がターニングポイント」とデジタル化の意義を話す。

 今後、藤本蚕業デジタルアーカイブは「GIGAスクールや探求的な学習に応える地域学習教材として、地域DXのモデルになる」と期待する。

 プロジェクトリーダーで長大4年の竹中丈二さんは仲間と、史料をデジタル化にするため地道な作業をしてきた。
 「史料の多くは蚕種業だが、なかには小説や銀行の法律の本などあり、広い分野にわたる。当時の人たちの思いや考え方がわかり興味深く面白い」。
 また、プロジェクトは昨年12月から今年2月までオンラインで「藤本蚕業歴史館で学ぶデジタルアーキビスト養成講座」を開催。
 全国から約50人が受講。
 デジタルアーカイブを実践的に学ぶという全国に開かれた拠点となる可能性を拓いた。

 プロジェクトの一人、同市常磐城の山﨑洋さん(72)は「デジタルマップの形式になったので史料を探しやすい。言葉だけでなく写真からも見つけだすことができる。当時の雰囲気や空気感も感じられる」。

 藤本工業㈱の佐藤修一社長(71)は「祖父や父親から蚕種業のことは事細かに聞いたことはなかった。蚕都上田の歴史的な史料、建造物の大切さを改めて感じ、後世に伝え、地域の発展につながれば」と話していた。

◇  ◇

 藤本工業は、家業の蚕種製造業を発展させ、明治41(1908)年、藤本蚕業合名会社を設立。大正13(1924)年に藤本蚕業㈱、昭和37(1962)年に藤本工業㈱へ組織を変更し、史料と建物を所有している。
 ※藤本工業は、一時期、旧佐藤宗家だけが「藤本」と名乗った。 
 【URL】https://d-commons.net/fujimoto-dc/