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現代日本を代表する洋画家、遠藤彰子さん(75)の半世紀余にわたる画業をたどる「巡りゆく遠藤彰子展」(2023年2月12日まで・上田市立美術館)

テーマ:お知らせ

【「鐘」について話す遠藤さん】
【最新作の「山鳴りひびく」】
【「眸ひらく明日」(左)など】

 上田市天神3の市立美術館は現代日本を代表する洋画家、遠藤彰子さん(75)=神奈川県相模原市=の半世紀余にわたる画業をたどる「巡りゆく遠藤彰子展」を開いている。

 初期の作品「楽園」シリーズから、寒色を多用して不安や孤独にかられる人々の心象を感じさせる「街」シリーズ。
雄大な自然と生命が融合する500号超の「大作」シリーズの油彩画など60点余を一堂に展示した。

 最新作「山鳴りひびく」=333・3㎝×497㎝=は、今年の二紀展に出展した右側部分に、左側部分を連結した作品として初めて公開した。
 「生命が終わりを迎えて大地へと還っていき、乾いた音が山に鳴り響くさまを表した」という。

 「鐘」=333・3㎝×745・5㎝=は、食をテーマに、富める者と貧しき者が大きな楕円を描くように連鎖する世界を描いた。

 遠藤さんは、大作を制作する時は、はがき大のドローイングを描き出すところから始めて構想に2、3カ月をかけ、ほぼ1年に1作品ずつ仕上げていくという。
 「人や社会に敏感に『今』を描いていきたい。毎日必ず描いており、描くことで自分を形作っている」と話す。
 また、作品に描く数多の人間の中の1つに自身の姿を入れるなど「絵を楽しむ仕掛け」もしていると明かす。
 「明るく元気に生きていこうというメッセージを全ての作品に込めています」。

 同展実行委員長で長野二期会長の米津福祐さん(上田市中央2)は「じっくり見ていると力が沸き上がり愉快な気分になる。からだ全体でこの不思議な魅力を体感していただきたい」と来場を呼び掛ける。

 遠藤さんは武蔵野美術大学名誉教授、二紀会理事。
1999年から2011年まで上田市などが開く山本鼎版画大賞展の審査員を務めた。

 展示した全作品は撮影が可能。

 来年1月14日には、遠藤さんによるワークショップ、同15日は講演会。全て事前申し込みが必要。

 来年2月12日まで。
 開館時間は午前9時から午後5時。
 火曜日と年末年始の29日から1月3日までは休館。
 観覧料一般800円。
 (電話)0268・27・2300(同館)