民間文化施設「犀の角」代表、荒井洋文さん(52)=上田市= 「芸術選奨の芸術振興部門で大臣賞」
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上田市中心部の海野町商店街で民間文化施設「犀の角」を運営する荒井洋文さん(52)はこのほど、芸術選奨の芸術振興部門で文部科学大臣賞を受賞した。
犀の角は2016年にオープンし劇場設備やカフェ、ゲストハウスを備える。
上演や地域演劇支援などのほか、地域のNPOや市民らと協力して取り組む「のきした」の活動やインドのケーララ州にある劇場との共同創作などについて「『未来の劇場』の可能性を示唆する活動」と、高く評価された。
荒井さんは「地方の民間劇場の取り組みに対してこの賞が贈られるのは初めて。芸術を見る社会の目が変わってきていることの表れで、地方で芸術に取り組む人たちにとって希望になると思う」と話す。
上田市出身。
大学2年で学生劇団に入ったことがその後の人生を変えた。
「時代の雰囲気に軽薄感を抱いていた」。
「正しいことは何か、人間とは何かを表現するには演劇の形式が自分には一番いいと気づき、演劇人として社会に関わっていきたいと決意した」という。
静岡県舞台芸術センターで10年間制作の仕事に携わった後、帰郷して犀の角を立ち上げた。
大都市ではなく自然に近い場所で活動したいとの思いは強く「人間と人間の間に自然が媒介としてあるような社会が健全だ」とする。
「コロナ禍」をきっかけに始まった助け合いの取り組み「のきした」は女性が500円で泊まれる「やどかりハウス」や「うえだイロイロ倶楽部」「むすびの日」などさまざまな事業を展開し、多様な価値観を持つ人たちが出入りする。
「ここは演劇に興味がない人でも入れる劇場で、それこそが理想。集まってきた人たちのやりとりも、ここから見える商店街の風景もわたしは演劇だと思う。劇場のあり方をとらえ直したいと常に考えている」。
「大規模な気候変動や大地震、戦争、テロなど社会情勢は厳しいが、社会全体が幸せになるような演劇をどうやったら作っていけるのだろうか。ここでの演劇のあり方や取り組みが社会を少しずつ変えていくと信じて、小さな振動を起こし続けていきたい」。



