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救患受け入れを止めるな! 上田市の「信州上田医療センター」から「速やかな転院」 ☆病院間連携を広げる。上小医療圏

テーマ:上田市ニュース

【連携医療機関の初会合。あいさつする横山院長(中央)】

 二次医療圏の上小医療圏で「救急患者を受け入れる最後の砦・後方病院を担う」上田市の「信州上田医療センター」が、満床で救急患者を受け入れられない時間が発生している。
 このことが、地域の医療問題になっている。
 二次医療圏は、医療法に基づいて定められた、救急医療を含む一般的な入院治療が提供される地域区分。 

 同医療センターの満床を防ぐため「転院手続きを迅速化させて病院間連携を促進させよう」-と、すでに運用が始まっている長和町との「依田窪病院」との連携協定を事例に、同医療センターで上小医療圏の病院が集まり「診療連携協定の初会合」を開いた。

 上小医療圏は、当番制で救急患者を受け入れる「輪番制」による10の二次救急輪番病院があり、輪番病院で受け入れ困難な救急患者を、信州上田医療センターが受け入れる体制となっている。

 医療機関で働き方改革や働き手の問題がある中、救急搬送の件数は増加傾向。
 特に「新型コロナ」以降に増加している。
 同医療センターへの救急搬送は2012年度に2184人だったが、2023年度には4202人に。
 上小医療圏では対処できず、医療圏外に搬送されたのは2023年度で1240人になった。

 同医療センターでは「新型コロナ」が5類化以降に運用病床を拡大、2021年の病床数は314床だったが2023年に335床にしたものの、病床使用率が平均90%以上の状態が続いている。
 そのため、満床により救急患者が受け入れられない時間帯が、一昨年には年間1200時間程度あった。

 同医療センターでは課題解決のため、昨年、依田窪病院と協議して、同医療センターで「急性期医療や専門的医療を終えた患者を速やかに転院させる取り組み」をスタート。
 昨年5月に医療連携協定を締結。
 このため同医療センターで、救急搬送が受け入れられない時間がかなり減る効果があり、2024年度はこれまでに256時間だった。

 この取り組みの肝は「速やかな転院」。
 転院依頼に対して「翌診療日(次の営業日)」には受け入れ可否の連絡ができ、転院の調整開始から受け入れまでに4日から5日で行っているという。
 この連携以前は3週間ぐらい必要だったため、転院するための期間をかなり短縮。
 同施療センターから依田窪病院への転院数は大幅に増加した。

 依田窪病院との効果から、連携に加わろうと昨年12月までに、上田病院、花園病院、柳澤病院、安藤病院、塩田病院、鹿教湯病院の6病院とも締結。
 6病院とは、まだ具体的な運用の実行は始まっていない。

 協定を締結した7病院との初会合について、同医療センターの横山隆秀院長「この地域の患者さんはこの地域の医療機関で診たい。これまでも連携の話し合いはあったが、進んでいなかった。今回は依田窪病院から提案をいただき、この取り組みを具体的に進めるため、病院内の実務者で改革をしてもらった。今回の取り組みで効果があり、依田窪病院でも患者が増えるメリットがある。この診療連携を進めるため、依田窪病院の取り組みを他の病院にも知ってもらいたい」と語る。
 今回の「速やかな転院」をさせる取り組みは県内医療のモデルケースになると考えられる。 

 今後、6病院でも実務者間で具体的な協議が必要になる。
 転院するための課題として、患者個人が介護タクシーなどで移動する必要があるため、転院をよりスムーズにするために「公的な補助」も欠かせない状況で、行政との連携も必要だ。
 また、10年余前に診療情報を病院や診療所間で共有する「連携ネットワークシステム」をスタートさせていたが、今回のスムーズな転院には課題が多く、改善が必要になっている。