上田市の丸子で「地域福祉推進フォーラム」が開催! ☆長野大学の青木准教授が講演 ☆当事者らと「パネルディスカッション」
テーマ:上田市ニュース

上田市と市社会福祉協議会、長野大学で構成する実行委員会は、地域福祉推進フォーラム「地域と共に生きていくために~私達にできること~」を丸子文化会館セレスホールで開いた。
市内の自治会長や民生児童委員ら約180人が参加した。
「自閉スペクトラム症児・者の自立と社会参加に向けて」と題し、長野大学社会福祉学部の青木雄一准教授が基調講演。
障がいを持つ当事者を取り巻く「環境」やいわゆる「ふつう」とは何か「一緒」に考えていくことをキーワードに話した。
自閉スペクトラム症は発達障がいの1つで、対人コミュニケーションの困難性やこだわりといった2つの中核症状を持つ。
青木准教授は「相手の意図や感情などを推論し、自分の行為を調整するプロセスに偏りが生じる可能性があるといわれているものの、その特性の濃淡は個々によって多様。目に見えにくい障がいとも言われており、その困難性について本人も周囲も認識しにくい」と話す。
こうしたコミュニケーション様式の相違により、いわゆる多数派(定型発達児・者)と少数派(自閉スペクトラム症児・者)とのやりとりにおいてズレが生じやすい場面などを映像やスライドで紹介。
「本来、コミュニケーションはinter―personal(人と人の間)な事柄であるにも関わらず、双方の間に生じたコミュニケーション上の齟齬は、自閉スペクトラム症児・者の失敗として認識されかねない現状がある」と説明。
これまで、本人の障がいによる困難性を改善するための方策として、いわゆる『ふつう』の話し方や関わり方を知識として教えられてきた経緯があり、青木准教授は「『ふつう』に近づける〃だけ〃でいいんでしょうか」と問いかけた。
「わたしたちが『ふつう』や当たり前と思っている概念も環境や状況によって変わる。障がいは個人が持っているものではなく、環境との間に生じるもの。誰もが参加できる共生社会を作るには、わたしたちという社会の枠組み(環境)を広げることを一緒に考え続けることが大事」と話した。
パネルディスカッションでは「当事者の思いと地域のかかわり方」と題し、当事者の大学生や当事者(中学生)の母親が発表。支援側としてNPO法人シャインの宮原哲史所長、上田市主任児童委員の佐藤暁さん、上小圏域障害者総合センターの橋詰正所長が意見交換した。
当事者の大学生は「『ふつう』に負けないでほしい。すべての人にそれぞれのバックグラウンドや思いがある。障がい者や健常者、男性や女性といった何かの枠組みに当てはめるのではなく、その人自身をみてほしい。いま『ふつう』と思っていることが10年後、100年後と時間が経てばそうじゃなくなる。ぜひ『ふつう』をアップデートするというマインドを持ってほしい」と話した。
当事者(中学生)の母親は、子育てで奮闘した経験を語り、特性を持つ子どもをしつけようとして悩んだり、世間とのズレを感じた時期、ある相談員から「子どもを大人の世界に近づけようとするのではなく、子どもの世界に大人が徹底的に寄り添ってみて」と教えてもらった。
この言葉を実行していくなか、息子との関係性が大きく変わり、地域とのつながりを少しずつ取り戻したという。
「子どもをどうして注意しないのという視線や言葉を周りから向けられると母親は孤立してしまう。注意したいのをグッとこらえて子どもの成長をひたすら待っているお母さんかもしれない。そういう姿を見かけたら優しく見守ってくれるとありがたい」。
昨年から息子と野菜などの無人販売所を始め、地域と関わりながら成長を実感しているといい「当事者が地域に出て行くためには、本人の努力や勇気だけではなかなか難しい。理解してくれようとする人々の存在や受け入れてもらえるという温かい地域の雰囲気がすごく大事。当事者や家族を見かけたら、距離を置くのでなく、大らかな気持ちで声をかけてもらえるとうれしい」と話していた。



