楽しむまちこもろ㊥ 「若者が出かけるまちへ「おしゃれ田舎プロジェクト」
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「なんかみんな楽しそうだなーと思ったのが一番」と話すのは、小諸市与良町の旧北国街道沿いに来月2月23日プレオープン予定の薪窯パン屋「保時鳥(ほととぎす)」のオーナー平井保子さん(42)。
昨年8月頃から2階建ての古民家を改装、神奈川県から通いで店を準備し、今月店の2階に引っ越した。
店内にはひときわ存在感を放つ大きなフランス式石窯。
カンパーニュとイギリスパンのみを「いい素材で時間をかけてこだわって作りたい」と胸躍らせる。

◆移住や開業をサ ポ ー ト


まちを案内し物件を紹介したのは、おしゃれ田舎プロジェクトの髙野慎吾さん(36)と小林秀行さん(48)。
小諸に住む人がもっと小諸を好きになり、若い世代が出かけたくなるまち、移住者に選ばれるまちを目指し、2019年にプロジェクトを立ち上げた。
空き店舗解消に向けた支援を展開。
移住者セミナーや物件情報、開業サポートなども支援。
2020年10月にオープンした「小諸駅のまど」を皮切りにプロジェクトを通じて新規オープンした店は、カフェや雑貨屋、洋裁店、ヘアーサロン、古着屋など12件以上を数える。
既存店舗の情報発信や開業後のサポートも行い、店同士や人をつなげている。
◆人と店をつなぐ



髙野さんは「10年ほど前、駅前におしゃれなドーナツ屋さんができてうれしかった、けれど知らずうち閉まってしまっていた。何か力になれなかったか」と心にひっかかっていた。
「もっと地元とのつながりをつくってあげられていたら」という気持ちが活動の原点になっているという。
色鮮やかさで花持ちのよい信州の花に魅せられて、昨年7月に神奈川県から夫婦で小諸に移住した黒木幸太さん(38)と可奈さん(35)。
同9月、花と雑貨「CAKESハナトコモノ」を与良町にオープンした。
同プロジェクトでは、夫婦を移住前からサポートし、空き店舗の相談や紹介などを行った。
アルストロメリア、トルコギキョウ、ユーカリ、スターチスなど小諸の花き農家から仕入れた季節の花が店内を彩り、花にまつわる雑貨や可奈さんの手作りアクセサリーの販売もある。
黒木さんは「地域の人をいろいろ紹介してもらい、開店前からつながりができて、やりやすさを感じている。通りの店同士で企画も考えている。一緒に盛り上げていけたら」と話す。
店同士で互いの店を紹介したり、コラボしたり、SNSのフォロワーも協力しているといい、小林さんは「店の人も活動して楽しみながらできているのがとてもいい。私たちが知らない地元の人ともつながりだしている」と喜ぶ。
髙野さんは「都会と違って田舎ですから、人とつながり楽しむことが一番。人とのつながりでできることの方が多い。地域と店とが連携して、愛ある商売がうまくいくと思う」と話していた。

相生町商店街の建物の間のトンネル通路をくぐり抜けるとあらわれるノスタルジーな空間。
店の建物を覆うツタは季節になると青々と茂り、秋には紅葉する。
1階店舗は花屋で奥の扉を開けるとカフェ空間が広がる。
2階はイベントスペース】

★プロジェクトでオープンした店
■2020年
▽電源カフェ「小諸駅のまど」(10月、小諸駅駅舎内)
■2021年
▽カフェ「彩本堂」(6月、荒町2)
▽リノベーション会社・雑貨屋「估謨堂」(9月、荒町2)
▽自家製ハム・ソーセージの専門店「デリカテッセン山吹(8月、荒町1)
▽洋裁屋「atorie(10月、荒町1)」
■2022年
▽コーポラティブスペース「合間」(5月、荒町2)
▽ヘアーサロン「RittRe」(5月、大手2)
▽ヘアーサロン・バルクショップ「parte giro by parte」(5月、相生町3)
▽花とカフェ「FLORO CAFE」(9月、相生町2)
▽古着屋「LUFT」(9月、相生町2)
▽花屋・雑貨「CAKES」(9月、与良町2)
■2023年
▽薪窯パン屋「保時鳥」(2月予定、与良町5)