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蚕都上田を担った「藤本」宗家「旧佐藤家住宅」が「国の登録有形文化財」に! 

テーマ:上田市ニュース

【二号蚕室】
【表門】
【二号蚕室の火炉】
【「日本博覧図」の藤本善右衛門邸宅(コピー)】
【火炉の解説】

 文化庁は15日、文化審議会から新たに「登録有形文化財」についての答申があったと発表。
 関係分では蚕都上田、日本一の蚕種の郷を担った「藤本」宗家、上田市上塩尻の旧佐藤家住宅が対象になった。
 今後、官報告示を経て登録される。

 旧佐藤家住宅は、江戸中期からの蚕種生産で知られる藤本(屋号)の宗家の屋敷。
 宗家は途絶えているため、蚕種会社が元になっている藤本工業(株)の所有になっている。
 藤本の膨大な資料は、藤本蚕業歴史館で保管している。
 旧佐藤家住宅に隣接する分家の佐藤修一さんの住宅建物など9件は、令和3年に国の登録有形文化財の指定となっている。

 新たに登録有形文化財になる建物は、一号蚕室、一号蚕室附属室、二号蚕室、文庫蔵、味噌蔵、表門の5棟1基の計6件。
 主屋は昭和2年に焼失しているため、屋敷の中央が開いた状態。
 明治30年発行の「日本博覧図」に蚕種製造の藤本善右衛門邸宅として紹介されている。6件の建物は明治前期から中期に建てられ、表門は茨城県から移築されたもの。
 門扉などにつけられていた金具は太平洋戦争時の金属回収により供出されたため、現在はその跡がみられる。

 棟全体に越屋根のある二階建ての二号蚕室は、明治20年に旧農商務省が刊行した書物にある加温するための火炉を参考にし、建物内部に長時間ゆっくりと燃焼させる特殊な火炉を設け、当時の最先端設備を備えた蚕種業を伝える建物。
 
 二階の梁には、藤本善右衛門や大工の名前などが記されている。
 実現はしなかったが、旧宣教師館のように上田市から移築保存の話があったという。
 収納蔵の文庫蔵は、角材を積み上げて壁にした井籠造り。
 貴重な建物のため信州大学が5年前に佐藤修一さんの住宅も含めて調査に入り、修一さんの個人宅が先に登録になったが、文献から調査がさらに進み、より文化財として深く研究されて登録につながったという。

 今回の登録について佐藤修一さんと、一番新しい分家の佐藤隆一さんは「日本一の蚕種の郷といわれた地で、大学の専門家に調査してもらい、貴重な建物とされ、多くの文献も保存している。皆さんに見てもらえるように保存し、地域のまちづくりに役立てたい」と話す。
 今後の保存・管理が課題になっているという。