上田市とキリングループ4社「地域活性化の包括連携協定」今年度の成果と今後の展開についての会議を上田市で開く。
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上田市とキリングループ4社は「地域活性化の包括連携協定」を令和元年12月に締結している。
このほど、今年度の成果と今後の展開についての会議を、上田市役所で開いた。
グループ4社は、キリンホールディングス、メルシャン、キリンビール、キリンビバレッジ。
キリングループからは、キリンホールディングスの溝内良輔・常務執行役員、メルシャンの長林道生社長や佐藤博東日本支社長ら。
キリンビールから関東甲信越統括本部長の鶴本久也氏と、長野・山梨支社長の田中貴士氏ら。
キリンビバレッジから東日本統括本部長の関信越支社長谷川浩二氏と、関信越支社長椎屋直孝氏らが訪れた。
協定は、椀子ワイナリーのオープンを契機に締結。
上田市のワイン産業や関連産業発展の期待。
同市の地域資産と、キリングループの事業活動を組み合わせ、地域産業の一層の振興を目的にしている。
◆連携する主な項目として
地域活性のための人材育成
地域産業との連携、協力
環境保全、資源循環
高齢者、障がい者支援
子ども・青少年育成ーなど。
連携推進の体制ため、これまで双方で「プロジェクトチーム化」を行っている。
これまでの活動として、人材の発掘と育成で「ウエダ ワイン ビジネス ラボ(UWBL)」の講座を開いた。
14人の参加者によるワイン作業体験、フィールドワークなどを行い、事業アイデアを発表。
「上田市の特産物とワインを掛け合わせたイベント」
「上田市の景色とワインのペアリングで地域の魅力再発見する事業」
「大屋駅周辺の活性化事業」などの発表があった。
「ワインの街上田」の理解では、お気に入りのワインを飲食店に持ち込んで楽しむ「BYO」のイベント実施。
700人以上が参加したUWBL参加者が中心的に関わった上田駅や大屋駅前でワインのテイスティングイベント。
ーなど、ワインの生産者や飲食店を巻き込んだイベントを展開した。
環境保全では、塩川小学校のクララ栽培、椀子ヴィンヤード(畑)の「30by30自然共生サイト」の後期実証実験への参加など。
「30by30」は、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全するG7サミットでの約束。
「自然共生サイト」は環境省が民間や自治体が所有する生物多様性の高い地域を認定するもの。
今年9月に椀子ヴィンヤードで参加すると発表。
これまで椀子ヴィンヤードは、専門家の指導を受けて生態系調査や植生再生活動を行い、希少種を含む数多くの昆虫や多くの野生植物が確認された。
この活動、成果を評価され、2018年に「いきものにぎわい企業活動コンテスト」で受賞。
ワインづくりの企業活動と自然保護を両立させている。
このほどカナダ・モントリオールで開催した「COP15」で、椀子ヴィンヤードの取り組みを紹介したことを溝内常務が紹介し「生物多様性が担保され、自然に優しい環境でできたワインはブランディングでもプラスになる。世界でも民間の農地で生物多様性になっていることが珍しく、ワインツーリズムの魅力にもつながる」と語った。
海外では、人工の農地と自然とが二極化する実態が多いため、COP15では共存する農業についての質問があり、科学的データを示して説明。
「生物多様性について世界をリードする立場になれることを感じた。より一層、椀子が注目される」と溝内常務。
◇ ◇
今後の令和5年度の活動として、上田市全体の関与度を上げ、持続可能な運営体制を構築。
それぞれの活動の担当を明確化。
担当同士での連絡や情報共有することで、活動の実行度を向上。
活発な議論や判断たのため、全体会議の”定期的な実施する体制づくり”を行う方針。
★活動は引き続き
人材育成のためUWBL1期生のフォロー、2期生募集の検討
BYO試行の検証や継続の場合に規模拡大
地域経済を活性化するコンテンツ開発
環境保全活動
農福連携ーなどを行う予定。
ビジョンは「ワインと上田の資産を市民みんなが誇りをもって伝え、日本で一番行ってみたい街になる」。
長林社長は「日本を世界の銘醸地にすることを目指しているが、上田を日本の銘醸地にしたいと願っている。市民の皆さんに椀子ワイナリーの存在をしっかり認知してもらい、市民の皆さんの誇りを抱いてもらえるよう、実現して行きたい。原点に戻りながら、目指すところを明確にし、活動の土台にしたい。海外ではワインを起点にした地域活性化が、量・質ともに日本と比較にならないほど進んでいる。日本では、本当の意味での官民一体のワインのまちづくり、SDGs未来都市、健幸都市はまだ存在していない。日本で最初に成し遂げることができるのは上田市の皆さん。なんとか実現したい」と語った。
土屋陽一市長は「コロナ禍の中でも取り組み前に進むことができた。他にない充実した内容で、上田市の大きな卓越性になる。生物多様性で注目されることも励みになる。引き続きよろしくお願いします」と語った。