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上田市の別所線「ゼロカーボン運行」実現へ! ★待ったなし気候変動対策。”真田魂”で危機に立ち向かえ!

テーマ:上田市ニュース

【自営線マイクログリッドが設置予定の別所線】

 地球は今、過去2000年のどの時期よりも速いペースで温暖化が進んでいる。
 気温上昇による気候変動により、深刻な干ばつ、水不足、海面上昇、洪水、極端な暴風雨などの恐れが現実のものとして発生しつつある。
 現代社会の維持、人類の安全のためにも「地球温暖化対策」は急務となっている。
 世界が対策を話し合う「国連気候変動枠組条約第29回締約国会議」(COP29)が昨年11月に開かれ、日本が取り組む事例の1つとして「上田市の鉄道ゼロカーボン運行と地域のゼロカーボンを推進する取り組み」が、世界に発信された。

 日本の先進事例として実現すれば、単に温暖化対策だけでなく、人口増も含めてさまざまな波及効果が期待でき、今後の進展が注目される。
 この事業は行政だけでなく、さまざまな団体、企業、住民による地域全体の協力が必要で、440年ぶりに「上田の力・真田魂」を広く示す機会となる。

 長野県は、都道府県で初めて「気候非常事態」を宣言。
 県全体の「ゼロカーボン戦略」を掲げている。
 上田市も2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする「ゼロカーボンシティの実現」に向け、具体的な削減目標を設定し、脱炭素を推進するとしている。
 住宅への「太陽光発電設置」や、県企業局により「小水力発電」などの設置が徐々に進んでいる。
 しかし、環境エネルギー政策研究所が示す自然エネルギーの電力割合は、2016年の14,7%から2022年には22.7%で、平均すると年1.3%増になり、このペースでは「原子力」を考慮しない限り、2050年カーボンニュートラルには到底届かない。
 政策的にモデルケースを示し、実現させ、けん引する必要がある。

 上田市が国から選定された「脱炭素先行地域」は、2050年カーボンニュートラルに向けて、2030年までに民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現するとともに、運輸部門や熱利用などの温室効果ガス排出削減についても、地域特性に応じて実現することを目指すもの。

 取り組む事業は、上田電鉄別所線沿線で太陽光発電や大型蓄電池を活用し、効率的なエネルギーマネジメントなどを行うことで、民生部門の電力の脱炭素化を推進。
 鉄道用の送電設備を活用し「自営線マイクログリッド(自前の送電設備)」をつくること。
平時は上田電鉄に地域の再生可能エネルギーを供給し、別所線のゼロカーボン運行、電力の地産地消を実現。
災害時の電力確保にも役立てる。

 対象エリアでは、乗車時に使えるポイントを付与する「別所線利用促進策」なども展開。
住民のマイカー依存度を低減させ、別所線の利用増進と路線維持を図り、沿線住民のゼロカーボン生活を推進する。

 事業対象の別所線沿線エリアは「6自治会(下之郷、東五加、下本郷、中野、上本郷、十人)」の約2200世帯。民間施設、公共施設も対象。太陽光発電を住宅・施設の屋根などや、ため池、鉄道敷、駅舎・駅カーポートに設置。
新規に6700kWの設備を導入する計画。

 エリアの民生部門の年間消費電力は約1400万kwh、うち1300万kwh余を再生可能エネルギーによる電力でまかない、残りは省エネの推進で実質ゼロにする計画。
 別所線の年間消費電力は約141万kwhで、全て再生可能エネルギーに切り替えることで二酸化炭素547トンを削減する。   

 事業を推進するのは、昨年7月29日に設立した地域エネルギー会社「株式会社サントエナジーうえだ」。
 10月から社員を雇用、太陽光発電の住宅などへの設置は「PPA事業(0円ソーラーモデル)」で進めるが、地域への事業説明を繰り返し行っている。
 事業参加する住民が増えていることから、融資がなされればすぐに事業実施できるよう準備を進めている。

 上田市最大の発電所、菅平発電所の年間発電量は1700万kwh。
 今回の事業はそれに近い効果を生むことになる。
 家のソーラーパネルで別所線が動いているとなれば”我が家の自慢”になる。
住んでいるだけでゼロカーボンになる地域は、移住者への魅力アップにもつながる。
全線再生可能エネルギーで動くことも別所線に魅力を与える。
 何よりも日本の顔となる脱炭素の取り組みで、さまざまな相乗効果も期待される。