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上田市の「長野大学淡水生物学研究所」は「ウナギの遊泳コスト分析」へ「共同研究開始」! ☆長野市の「信州大学工学部飯尾研究室」と新たに開発した「流水チャンバー」で

テーマ:上田市ニュース

【流水チャンバーを設置する箱山所長(手前)と飯尾准教授(右)ら】
【チャンバー内でウナギのテスト遊泳】

 上田市小牧の「長野大学淡水生物学研究所」(箱山洋所長)はこのほど、「信州大学工学部飯尾研究室」(飯尾昭一郎准教授)と「ウナギの遊泳コストの分析をする共同研究」を開始した。
 新たに開発した流水チャンバーを設置しての研究。

 この研究は水産庁の「国際資源ウナギユニット(箱山所長をリーダーに39の試験研究機関が協力)」の補助研究事業で取り組んでいる衛星タグを用いた「ニホンウナギの産卵回遊の追跡調査」の研究に関連したもの。

 これまで7年間行った回遊調査では、複数の生息地から衛星タグを装着したウナギを放ち海洋の移動データを取得。
 
 水温や水深環境による行動記録、産卵回遊経路の部分的な観測に成功した。
しかし、課題として2週間ほどで衛星タグが外れてしまうため、2500km先の産卵場への移動に耐える衛星タグに改良が必要となっている。

 今回、信大工学部飯尾研と共同開発した流水チャンバーは、水槽内に水流を発生させ、衛星タグ(ダミー)を装着したウナギをチャンバー内で泳がせる。
このことで、タグの脱落のパターンやウナギの遊泳パターンなど中長期の影響を観察。
 タグを装着した部分の傷の広がり具合や、流体抵抗を減らすためのタグの形状改良などを調べる狙い。

 ニホンウナギは、2013年に環境省、翌年「IUCN(国際自然保護連合)が絶滅危惧IB類」に指定。
 近年の漁獲量減少は国際的な問題となっている。
 養鰻業界では、養殖のスタートラインは天然のシラスウナギに依存しており、このまま減少していくと産業自体が維持しにくいという危機感がある。
このような現状から「ウナギ資源の持続的利用と保全」に向けた研究が推進されている。

 ウナギの産卵場は日本から約2500㎞離れたグアム沖合にある。
ふ化した子どもは海流に流されて成長しながら、フィリピン辺りから黒潮に乗って、半年かけ「シラスウナギ」となって東アジアの沿岸に流れ着く。

 日本の各地にも流れ着き、川や湖などで5年から8年ほどかけて成長し、また海に下って産卵場へ向かい、産卵して一生を終えるとされる。

 「ウナギは東アジア全体で1つの集団。その集団がどういう集団になっているか、回遊を調べていくと洞察が得られると考えている」と箱山所長。「たとえば日本海にまで入り込んでしまったウナギがほんとうに産卵場まで泳いでいけるのか疑問。台湾や中国などとも連携体制をつくり、いろんな生息場から放流することで、どこまで行けるのか、ちゃんと産卵所まで行ける生息地はどこかを調べている」。

 流水チャンバーについて「ウナギは衛星タグを装着すると、あまり遠くまで行けない。どういう負担があるのか実際に泳いでいるところを再現して、一週間泳ぐとどのような影響があるのかなどを見ていく」と話していた。