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上田市内8カ所の保養施設、全市的に統廃合の議論を!<上田市議会3月定例会・一般質問>2023 ★ゼロカーボンに向け「庁用車のEV車導入へ」

テーマ:上田市ニュース

 3月上田市議会定例会は27日、代表質問と個人一般質問を行った。

 ◆新生会の土屋勝浩議員は「新型コロナ」の影響で融資を受けた中小事業者は物価高騰でも影響を受け、融資の返済時期を迎えることから更なる支援や、今後の財政を考慮して日帰り入浴の施設の民間譲渡などを考え、所管する課を一つにまとめるなど、公共施設について質問を行った。
 ◇北沢健治・商工観光部長は「7月から来年4月にかけて、返済開始がピークを迎えることから、国で新たな借換え保証制度が設けられ支援が充実された。市では新年度も有利な融資を継続する。昨年12月から制度融資で、為替変動緊急対策資金の利用要件を緩和し、事業者の資金繰りが悪化しないよう金融機関と連携している。この資金は最初の2年を市が全額利子補給する。1月末で9件、1億4100万円を融資。物価高騰から9月末まで制度を延長する予定」。
 ◇倉島弘一・総務部長は「市内8カ所の保養施設は、合併前の各地域に設置され、設置目的もさまざま。保養施設を所管する担当者会議を開き、情報の共有や課題解決を行っている。施設利用者の減少、燃料費高騰の影響で経営が厳しい。市の財政支出が課題になっている。全市的な視点での統廃合の議論が必要。(所管課)体制については慎重に進めたい」。
 ◇土屋陽一市長は「公共施設を人口や財政にあった規模とし、持続可能な行財政運営ができるよう、基本方針で進めている。現行の基本方針は令和7年度までで、利用状況や収支状況の分析に基づき、目的を終えた施設などは廃止、統廃合の検討を行い、次期の基本方針策定では、施設の総量削減の具体的な数値目標を盛り込む。安定した行政サービスの維持のため、公共施設の有効活用や総量縮減に、覚悟を持って努める」。


 ◆上志の風、池田総一郎議員は、地域防災体制で情報提供のための通信手段の早期構築や、ゼロカーボンシティの推進で公用車の電気自動車・EV導入などを質問した。
 ◇倉島総務部長は「災害情報をリアルタイムに的確に発信するため伝達手段の多様化、多重化に取り組んでいる。テレビやラジオ放送、公式ツイッターやライン、メール配信サービス、FMとうみのスマートフォンアプリ、地元ケーブルテレビの臨時災害放送局の開設など整備。新年度では安定した通信環境を確保するため、システム維持管理費や情報取得手段の周知、啓発を進める。自治会の第一次避難場所の情報収集の機能の強化を図るため、Wi―Fi環境の整備は有効。新年度では防災用資機材の購入補助制度の更なる充実で、Wi―Fi環境の整備を支援できるよう、補助対象の見直しを進める」。
 ◇北島大志・生活環境部長は「V2Hは太陽光発電で電気自動車に充電するだけでなく、車を蓄電池として夜間や災害時に住宅で利用でき、再エネ、省エネで有効。県では令和5年度にV2H導入の補助金を創設予定。住宅に単体導入する場合、市の補助限度額6万円と合わせ、最大16万円の補助を受けることができ、別途、国の補助も予定されている。庁用車のEV車導入は4月ごろ1台導入を予定、今後車両更新の際には、導入の検討を行う」。 
 

 ◆壮志会の宮下省二議員は市民の健康増進や医療費抑制をふまえ、特定検診の受診率改善に向けた取り組みについて質問。
 ◇室賀久佳・健康こども未来部長は「令和3年度の受診率は37・7%で前年度から6ポイント上昇したものの県内19市の18位。今年度から新たな取り組みとしてナッジ理論を応用し、より効果的な内容で検診の重要性を訴える案内を送付している。医療機関での個別検診や集団検診など医師会や医療機関等の協力で実施しており、集団検診は土日にも開催している。集団検診の日数増加も含め、少しでも多くの方に受診していただけるよう努める」。
 ◆令和5年度中の策定を目指すスポーツ都市宣言について質問。
  令和10年開催予定の長野国民スポーツ大会に向け、スポーツ専門指導員等を採用して専門的で理化学的見地から市民のスポーツ振興を図るべきと質した。
 ◇小野沢和也教育次長は「都市宣言の効果は市民のする、見る、支えるスポーツへの参加意欲が高まり生涯スポーツ社会実現への原動力になる。都市宣言と国民スポーツ大会の開催が相乗効果として市民の皆さまのスポーツに対する関心が高まると考える。現時点でスポーツ専門指導員等の採用予定はないが、関係団体と連携を図りながら地域の人材を最大限活用しスポーツ振興に取り組んでいきたい」。


 ◆公明党の松尾卓議員は策定が1年程度先送りとなった市地域公共交通計画について、これまでの進捗や今後の進め方を質問。
 ◇三浦哲夫・都市建設部長は「令和3年度はバス利用実態調査やアンケート調査、今年度は地域協議会での意見交換会やワークショップを開催し、現状の把握と課題の洗い出しを行った。国、県の動向を踏まえ、令和5年中の策定、公表に向けて取り組んでいく。バスの輸送人員減少や深刻な運転手不足等により路線の維持が厳しさを増す中、日常生活に欠かせない不可欠な移動手段を確保することが行政の責務であり、現状のバス路線を守ることが最優先に取り組むべき事項ととらえている」。
 ◆市が導入を進める書かない窓口システムについて質問。
 ◇石井正俊・市民まちづくり推進部長は「書かない窓口システムは転入手続きの際に来庁者が持参する転出証明書をOCRで読み込み、情報をデータとして取り込むことで異動届出書を自動で作成するシステム。3月中旬には稼働する予定。住所異動に伴い必要になる児童手当関係や印鑑登録申請、各種証明書、請求書等についても自動で転記し申請書を作成するので、手書きで記入する必要がなくなり利便性が向上する」と答えた。


 ◆日本共産党上田市議団の久保田由夫議員は、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとする脱炭素社会の実現を目指すとしていることから、再生可能エネルギーの普及、進捗を公表して分かりやすく見える化する仕組みをつくることや、マイナバーカードを持たない人に行政サービスの不利益があってはならないとして質問。
 ◇土屋市長は「令和3年に上田市気候非常事態宣言を表明した。市民、事業者と一体となって進める再エネの普及や、省エネの徹底など、地球温暖化対策地域推進計画により推進している。太陽光発電の地域への導入量は、約114・7メガワットで、一般家庭の3万8000世帯分がまかなえる設備で、推進計画の中間目標92・2%の達成率。取り組みの見える化については、市民1人ひとりがライフスタイルを見つめ直すきっかけになる」。
 ◇倉島総務部長は「マイナンバーカードはこれからのデジタル社会の基盤であり、本人確認、住民票の写し等、各種証明のコンビニ交付、確定申告がオンラインで行えるなど利用が拡大している。令和5年4月からは健康保険証として利用し、令和6年度末までには運転免許証と一体化するなど利便性の向上が進められている。一方、カードの取得は任意のため、持っていないことで暮らしや行政サービスで不利益が生じないよう努める。1月末のマイナンバーカードの申請率は約63%で、引き続き取得に向けた取り組みを進める」。

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 ◆堀内仁志議員は、学校不登校に関連し、学校で使用しているタブレット端末の操作が苦手な子どもが不登校気味になった話があり、操作不得手な児童への対応について質問。
 ◇峯村秀則・教育長は「操作には個人差がある。学校では段階を踏んだ指導を行っているが、タブレットは道具の一つであり、技能の優劣を評価するものではない。ICT支援員等が個別支援をていねいに行うことで、苦手な子に寄り添い、対応に努める」。
 
 ◆斉藤達也議員は、待機児童ゼロ、保育所等の申込みについて質問。
 ◇室賀健康こども未来部長は「令和5年度は今年度を上回る保育士の確保ができる見込み。待機児童は入園調整を行いながら、発生を抑制することができている。令和5年度の申込みは903人、前年より16人増。3歳未満児が741人、前年度比46人増。3歳以上児が162人、前年度比30人減。入園先決定は、3歳未満児は全て第一希望で受け入れることは困難のため、可能な人には育児休業を延長をお願いしたり、私立園の協力をいただくなど、懸念された待機児童の発生は抑制できる見込み」とした。