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上田市の平井寺自治会の育成会が「小学校入学児童」と「小中学校進級生・卒業生全員」に学用品を贈る!

テーマ:上田市ニュース

【令和5年度の新小学生、小中進級生、同卒業生と自治会役員ら】
【塩入育成会長からランドセルを受けとる林さん(右)】
【林自治会長の話を聞く児童】

 「地域の子どもたちの学業成就と健やかな成長、生まれ育った土地への愛を育みたい」―。
 上田市古安曽の平井寺自治会(林正道自治会長、67戸)の育成会(塩入光明会長)は毎年度末、次年度の小学校入学児童と小中学校進級生・卒業生全員に「学用品」を贈っている。
 伝統事業として明治中期から約130年にわたり、毎年欠かさず行っている。

 授与式は11日、同自治会公民館で行われた。
13人の幼児や児童、生徒が、保護者らの見守る中で学用品を受け取った。

 同事業は、地域の享有林約100haのうち1haを管理した享有林生産森林組合の青年団が、伐採した木材の売上金から資金を作って立ち上げたと伝わっている。

 青年団が蓄えた資金を主に自治会、婦人会、育成会などほぼ地域の成人全員が力を合わせ、子どもの勉学の励みになるようカバンやノートなどを用立ててきた。
 太平洋戦争最中で物資不足の折も、麻カバンや手作りの絹ゾウリなどを工面した。
 現在は、新小学生にはランドセル、小中進級・卒業生には図書券を贈っている。

 塩入育成会長(47)は「林業衰退で原資の維持が厳しくなり、今なりの形で事業をつなげています。私自身は、祖父、父、そして子どもと4代に渡って学用品を受け取りました。贈られる子どもらが成長して地域を盛り立て、事業をつないでくれるとうれしい」。

 林自治会長(70)は「60余年前に学用品をもらった思い出は今も鮮明。時代とともに苦労もあると思うが、欠かさず続く事業を先につなげるよう地域の力を合わせたい」。

 新年度東塩田小1年生となる林愛梨さんの父・秀宣(ひでのり)さん(49)は「皆が温かい自治会。ここで育ったことを子どもらが忘れず、人を思いやる気持ちを大切にしてほしい」と話した。

 令和2年に同森林組合は解散したが、つなげてきた蓄えは自治会が引き受け、先人たちの思いとともに事業を受け継いでいる。