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上田市教育委員会が民間施設やICT活用の学びを「出席扱い」にする要件を含むガイドラインを作成!上田市総合教育会議で説明。◆「不登校児童生徒を支援」するため。

テーマ:上田市ニュース

【総合教育会議で「うえだ子どもシネマクラブ」を紹介する直井さん】

 上田市教育委員会は、不登校児童生徒を支援するため、民間施設やICT活用の学びを出席扱いにする要件を含むガイドラインを作成した。 
 このほど市役所で、市長部局も交えた「上田市総合教育会議」で説明。
 事例として「上田映劇」での民間の取り組みについての紹介もあった。

 市内小中学校で不登校とされる児童生徒の割合は、令和元年に2・51%だったが、令和3年には3・43%に増加。
 上田市総合教育会議では、市内に多い不登校児童生徒への支援について議論を重ねている。
文部科学省の方針などの状況から、今月の教育委員会で「不登校児童生徒を支援する民間施設等に関するガイドライン」を策定した。
 長野県内では松本市や佐久市など6市で策定している。

 出席扱いにするかの最終判断は、児童生徒が在籍する「校長」が行うため、ガイドラインは校長が判断する目安や留意点を示したもの。

 民間施設で努力する児童生徒を評価して、出席扱いとする要件として、当該施設での相談・指導が社会的な自立を目指すもの。
登校を希望した時は、円滑な復帰が可能になる支援を行っていると評価できる場合としている。
◆基本的な要件として
 ▽保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれている
 ▽当該施設に通所、入所して相談・指導を受ける
 ▽当該施設は中間教室などの公的機関、公的機関に通うのが困難な場合で本人や保護者の希望もあって適切だと判断される場合は、民間施設も考慮。
◆民間施設の要件について
 ▽法人、個人は問わない
 ▽実施者が不登校児童生徒に対する相談・指導などに深い理解と知識、経験があり、社会的信望を有している
 ▽著しく営利本位ではなく、入会金や授業料などか明確
 ▽児童生徒の人命や人格を尊重した人間味のある温かい相談・指導
 ▽相談・指導の内容や方法などが明示され、児童生徒のタイプや状況に応じた適切な相談・指導、義務教育制度を前提とするものーなど。

 ICTなどを活用した学習支援の出席扱いは、児童生徒の自立を助けるため有効・適切だと判断できる場合。
◆要件として
 ▽保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれている
 ▽訪問などによる対面指導が適切に行われること
 ▽児童生徒の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラム
 ▽不登校が必要な程度を超えて長期にわたることを助長しないよう留意するーなど。

 土屋陽一市長は「全ての子どもの可能性を最大限引き出したい。有効活用することが大事」と話し、検討で考慮点を各教育委員に質問。
 教育委員からは「ガイドラインができたことは不登校支援の第一歩。今回は学校向けだが、今後は市民向けの指針も示すことが重要」
 「選択肢を広げることで有効。民間の施設に行くことで他者の係わりで成長し、生活のリズムを整えられる。自分を見つめ直す契機にもなる。いつか学校に戻ってもらいたいという思いはある」
 「その家族や人生を大きく左右するもの」
 「ガイドラインは大まかな指針。子どもたちにさまざまな状況があり、民間施設もさまざま。走りながら考えていく。運用しやすいものになってほしい」などの発言があった。

◇  ◇

 民間施設の事例として、上田映劇で行う「うえだ子どもシネマクラブ」の活動内容を、NPO法人アイダオの直井恵さんが説明した。

 「うえだ子どもシネマクラブ」は、NPO法人上田映劇とNPO法人侍学園スクオーラ・今人との3NPO法人で運営。
 月に2回・4作品の上映会、平日にはポスターの張り替えや上映スタンプ押しなどの手伝う。
 英語の勉強。
 侍学園の生徒らによるコミュニティカフェの利用などに取り組む。
 不登校などさまざまな団体とも連携。
 活動の幅が広がっている。

 上映会では3年間で、子どもと若者が延べ991人、保護者が410人鑑賞。
 映画館としては全国初で登校として認められる子どもがおり、進学をしないつもりの子どもが進学する契機にもなったーなど紹介。
 「さまざまな背景を持つ子どもが出会って、互いに刺激し合い、自分たちから変わる契機を、まちが受け入れることで感じた」とした。