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上田市菅平高原の筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所が「柿渋」を塗る! ★敷地内にある登録有形文化財「大明神寮」の外壁に。

テーマ:上田市ニュース

【外壁に柿渋を塗る学生ら】

 上田市菅平高原の「筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所」は、このほど敷地内にある登録有形文化財「大明神寮」の外壁に防虫、防腐効果があるとされる”柿渋”を塗った。

 同大の教職員や学生、市民らによるボランティアスタッフ「菅平ナチュラリストの会」のメンバーら約30人が刷毛を使って、柿渋を塗り重ねた。

 大明神寮を維持、保存しようと10年以上前から毎年行っている恒例の作業。
 例年は、市販の柿渋を使用している。
 しかし、今年は、初めて同実験所で2年前に仕込んで熟成させていた柿渋を一部に試し塗りした。

 大明神寮は、同大の前身、東京教育大学理学部附属菅平高原生物実験所に1965年、宿舎として建てられた。
根子岳や四阿山など背後の風景と一体となった景観や、合宿や研究などの中心地として発展した菅平高原の歴史を伝える重要な建物だとして2018年に「登録有形文化財」に指定された。

 以前は教職員や学生の研究、野外実習の際の宿舎として利用されていたが、現在は宿泊施設としては使われていない。

 初めて参加した同大生物学類4年の寺嶋悠人さんは「地域の人たちと協働し、文化財の保全活動に関われるのは貴重な経験です」と話していた。
 同大は昨年3月に大明神寮の保存活用計画を策定。菅平高原の自然や文化を発信する展示コーナーなどを設け、博物館機能を備えたビジターセンターとして活用する計画だ。
 菅平高原実験所の出川洋介所長(54)は「学生や研究者が寝泊まりし、膝をつき合わせて論じ合った雰囲気が感じられる建物。使いながら維持していきたい」と話す。

 今年11月3日には、大明神寮などを会場に、標本をテーマとした企画展を開く。