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<トップインタビュー⑪>齋藤木材工業㈱=長和町古町= 齋藤健社長(63)「県産カラマツを有効利用」

テーマ:ひと

 

 長和町古町の木材加工業、齋藤木材工業株式会社は、長野県産材にこだわった構造用集成材を製造している。
 木造建築の設計や施工も手掛けており、受注案件では集成材製造から建方工事までを請け負うことが多い。
 文久2年(1862年)に創業し、昭和32年(1957年)に会社設立。
昭和40年代、挽き板または小角木材を集成接着し強度と品質を安定させる「集成材」の製造に、全国に先駆けて着手。
 現在の事業の柱は、非住宅の大型建造物などに使われる「大型集成材(大断面集成材)」で、この分野の実績は全国トップクラス。

 ─齋藤木材工業の集成材とは
 強度が優れると認められている”県内産カラマツ”を使用して集成材を製造している。
 全国でも珍しい、原木調達から製材まで行う一貫製造体制をとる。
長年の積み重ねで、トップクラスの技術を有している。
 カラマツのJAS規格の認証は日本で初めて取得した。
 近年は、都市部でも木造部材による大規模建築が可能となる「耐火集成材」が注目されている。
 また、高価な県内産カラマツを厳選したハイグレード集成材を「唐松丸」として自社ブランド化した。

 ─近年の業績と事業状況は
 売上には波があるが、木材需要の高まりで、上向き傾向といえる。
 前期1年間は、非住宅大型案件の受注などもあったため、売上高は約18億5000万円と比較的好調。
 また、ウッドショックや円安が国産材の見直しにつながったことも、影響したと考えられる。

 ─今後の展望は
 長い目で見れば、全国的に木造建築の需要は増えていくとみられる、供給体制の整備はしっかり考えておかなければいけない。
 非住宅などの大型案件は、技術力で原材料の価格差を補うことができるため、引き続き柱となる。
 住宅市場の案件も伸ばしたいが、価格勝負では外国産材の安さに勝てない。
 環境貢献を訴える、差別化商品としてPRする必要がある。
 豊かな森林の継承や環境活動、SDGsなどに目を向けていただければ、地域産材を使う選択につながるのではないか。

 ─経営方針は
 社員とその家族を大切にすると同時に、顧客に喜ばれる良い製品を提供し、事業の発展を通じて社会の繁栄に寄与する。
 県産カラマツの利活用といったこだわりをもって事業を進めたい。

 ─企業理念と将来像は
 環境に貢献する木材、緑豊かな山を次世代につなぐ森林サイクルを実現するため、木材の価値を高め、独自資産を保有した小さな大企業として100年企業を目指す。
 山や森林産業の維持は当社だけではできないが「山から出たものに価値を付けてお客様にお届けする」という私たちの役割を果たし、産業全体の魅力向上に寄与できれば。
 今後も一貫して県産カラマツを原点として、有効利用することで、50年後100年後、緑豊かな山が残るようにしたい。
 地域材を活用し、技術開発をしながら、一歩一歩確実に進んでいければ。

◇  ◇

 資本金5000万円。
 従業員数約70人。
 町内に本社や工場、営業部、建築部が、上田市内に営業所と企画室がある。