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上田市の長野大学がオープンカレッジ「カレッジ長大」を初めて開く! ◆軽度の知的障がい者が受講した

テーマ:上田市ニュース

【成果発表を行う受講者と学生スタッフ】

 上田市下之郷の長野大学は、このほどオープンカレッジ「カレッジ長大」を初めて開いた。
 同オープンカレッジは、10月から今月中旬、文部科学省から受託した事業で、障がいのある人の学び直しの場。
 学校を卒業した、10代から40代の軽度の知的障がい者9人が受講した。

 今年度の同省「学校卒業後における障害者の学びの支援推進事業」の委託事業の採択を受けて実施。

 同大におけるテーマは「STEAM教育の要素を取り入れた障がい者の「学び直し(Reskilling)モデルづくり」。 STEAMのうち「A(アート)」に重点を置いた障がい者版STEAM教育。
 将来的にはインクルーシブ教育とドッキングさせる「障がい者のための生涯学習」を柱に、障がい者の学び直しモデルを構築することが目的。
 対象は学校を卒業した軽度の知的障がい者。

 学習プログラムは、障がい者の生活を豊かにし、新しい人間関係を作っていくことを目指して計画。
 スポーツや演劇、受講者の快適な生き方を目指した学習、成果発表など全8回を実施した。

 実施体制は、同大教職員に加え上田市役所や上小圏域の社会福祉関係団体でつくる連携協議会、コーディネーター、課外活動として参加した社会福祉学部を中心とした学生スタッフ18人。

 学生は、各受講者を担当する9人の個別サポーター係、記録係や統括係などを務め、事業の中核的な役割を担った。

 6回と7回の講義で、受講者はサポーターと共に「私」を主語として自身を紹介するボード作品を制作。
文章やあいうえお作文、絵や折り紙など、それぞれの表現で作品を完成させた。
 また、男性受講者チーム、女性受講者チーム、学生チームとしてもボードを制作し、カレッジ長大を振り返る感想や意見などをまとめた作品を作った。

 最終日の8回目の講義では「成果発表会」があり、サポーターと共同で作品発表を行った。
 その後、修了式があり小林淳一学長が修了証書を授与した。

 受講者は
 「様々な出会いやいろいろな触れ合いがあり、共同制作などで心が一つになっていった。昼食でもシェアなどもできて、ここに来て良かったと思った」
 「話せる人が増えて良かった」
 「大学に行きたいという願いが叶った」
 「大学生と話せて良かった」ーなどの感想を話した。

 担当の宮本秀樹特任教授は「障がい者の学び直しの場は少ない。STEAM教育を取り入れて学び直しの場を作るため、まずはアートの学習プログラムを用意した。全員が作品の発表を行うなど一定の成果が出ており、来年度以降もこの事業実施に向けた申請を行う予定」と話した。