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長野大学×上田千曲高校 高大連携で初の課題研究発表会! ★相互に刺激 

テーマ:上田市ニュース

【発表する上田千曲高の生徒】
【小林学長】
【大勢が来場した会場】
【丹野教授】

 上田市の長野大学社会福祉学部と上田千曲高校生活福祉科はこのほど「2020年12月の高大連携協定」に基づき、初の「課題研究発表会」を長野大で行った。
 会場には、高校生の保護者や他校からの来場もあり約180人が集まり、高大連携への関心の高さと期待がうかがえた。

 協定は、相互交流と教育内容の充実のために締結。
「コロナ禍」で思うようにできなかったが、今回初めて相互の研究を発表する機会が実現した。
高校生の発表に対して大学生や大学教員が講評を行った。

 冒頭で小林淳一学長が「世の中の変化が激しい中では、自ら問題を考える力が求められ、その能力をつけることが高校、大学を通して必要になっている。高大連携の授業で学ぶことが大事になる」。

 繁成剛社会福祉学部長もあいさつした。

 上田千曲高は、障がい、高齢、児童の3分野で課題に対する研究と活動を行ったグループが1年間の成果を発表。

 障がい分野では、子どもへのパラスポーツの紹介でさまざまに工夫した「ボッチャ体験」「障がい者対応の店舗の状態を調査してSNSなどで情報、発信」「補助犬を連れた来店者への対応をまとめたリーフレットづくり」などを発表。
バリアフリーが社会にもっと広がり、気軽に訪れられる場所が増えることが必要だとした。

 高齢分野では、高齢者の生活の課題を調査して庭の手入れや話し相手などの支援を実践した「レンタル高校生プロジェクト」や、スマートフォンの操作を教える「スマホカフェ」の取り組みを発表。
誰もが安心して暮らせる地域のために専門職だけでなく「住民による支援の輪が広がること」が必要だとした。

 児童分野では、保育園での実習で「子どもの年齢による発達段階に合わせて能力を伸ばす遊びを考えての実践」「ベビーカー対応や授乳室などを調べてまとめた子育てマップづくり」「小諸商業高のスマイル小商店街に福祉分野の体験で参加した」ことなどを発表した。

 学生らから講評では、積極的な高校生の実践に高い評価があった。
 質問として「この学びを今後どのように生かすか」。
「情報発信では情報を届けたい人に届けられる発信方法を考える必要がある」などのアドバイスがあった。

 質問に対して、高校生からは高齢者支援の取り組みが全国に広まってほしい|などの回答もあった。

 高校生に続き、大学生側からは、井上ゼミを代表して社会福祉学部4年の吉田天瑠さんが、子どもの虐待を予防するための「世代間連鎖を断ち切る」研究を発表し、ヘンリー・ケンプの理論を踏まえ「子ども時代に愛されていない親」が背景にあり、虐待に自然治癒はなく、虐待された経験を持つ親への育児支援、生活ストレスの軽減、虐待しない親に育てるなどが必要だとした。

 丹野ゼミから4年の小山智愛さん、吉田峻さん、斎藤真愛さんが、幼稚園での実践的な学びの場で、子どもの運動能力の成長を伸ばす支援ためのアプリケーション「魚をつかまえろ!」。
制作中で予測を踏まえた運動が必要になる「動物タッチ」を上田市のエプソンアヴァシス㈱と共同で開発していることを発表した。 

 特別講話では丹野傑史教授が「地域活動を探求するために」として、自分が何かしてみたいことを考え、現場に出かけて自らの感性を磨き、成功・成果よりも相手に自分のやりたかったことが理解してもらえたかどうかが大事だとした。
 「『できない』ことを前提とした社会を考えてほしい。今の社会は、できることを前提にしているため、できない子が障がい者と言われる」と語った。

 発表会の最後に、来年4月から長野大に進学する上田千曲高の生徒から「1年間頑張ってきた成果が多くの皆さんに知ってもらえて幸せです。いただいたアドバイスを長野大学でさらに磨き、地域で貢献できる人間になりたい」と話していた。