上田市の丸子公民館が「長野県は宇宙県」講演会を開く! 木曽観測所の望遠鏡にある観測装置「トモエゴゼン」の紹介に多くの人が参加。
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上田市の丸子公民館は、21日「長野県は宇宙県」講演会を開いた。
木曽観測所の望遠鏡にある観測装置「トモエゴゼン」の紹介に、多くの人が参加した。
2016年に信州大学でのミーティングから「松本宣言」により「長野県は宇宙県」ができた。
その後、賛同した県内の天文学者や科学館職員、アマチュア天文家などが「長野県は宇宙県」連絡協議会を組織した。
長野県が宇宙観測に優れた条件があり「宇宙に近い」という資産の魅力を伝えている。
スタンプラリー、研究会など地域振興や人材育成などの活動を行っている。
講演会の会場には子ども向けに、紙を切って地球儀のようなものが作成できるペーパークラフトなども準備。
丸子公民館の小林博文館長は「長野県は宇宙県」の説明などを行い「上田市は阿智村と並び、環境省の本州で一番光がなく、星空を眺めやすい場所に指定されている。この時期、とても寒いが星空を見るには良い。昨年は丸子地域で義仲イヤーとしてさまざまなイベントを実施し、盛り上がった。木曽観測所のトモエゴゼンには新しい天文学の開拓に挑む願いが込められているそうです。4年後の義仲イヤーに向けて新たなスタートを切り、今回の講演がそのキックオフにふさわしい内容」とあいさつ。
講演の講師は、東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター・木曽観測所の高橋英則助教。テーマは「トモエゴゼンが見つけた宝物~天体観測は宝さがし~」。
高橋さんは、自身の研究や人工衛星の部品を作成したことなどを話した。
木曽観測所が、1974年に東大東京天文台の5番目の天文台として設立。
大型のシュミット105㎝望遠鏡があり、2019年に広視野動画カメラ「トモエゴセン」を搭載したことを説明。
巴御前が木曽義仲と共に活躍し、強く長生きしたことから「広く長く世界で活躍する象徴」として名付けられた。
「天文の観測装置に人の名前がついているのは世界でここだけだと思う。開発は2015年にプロトタイプをつくり、装置に光を入れるファーストライトの時にケーキでお祝いした」と語った。
トモエゴゼンは、84のセンサを並べ、オリオン座の半分ほどの広範囲を一度に観測。
高精度の動画で瞬間的な現象を捉えることができるなど、高性能な観測装置。
「10秒よりも長い時間で観測できる装置は世界に多くあるが、10秒より短いタイムスケールで変わる現象を捉える装置がなかったことから開発された」と説明、彗星が動く動画などを紹介した。
夜空を広く観測する「動画サーベイ」では、地球接近の小惑星を探索。
2019年3月から2022年6月までに直径100m以下の小惑星を42個発見。
超新星爆発直後の光度変動が観測できるなどの成果が出ている。
講演会に市内から訪れた男性は「天体宇宙に興味があり、講演会にはよく参加している。木曽に天文台があるのは知っていたが、トモエゴゼンは初めて知った。良い勉強になった」と話していた。