記録集「若者たちへの伝言2023」を完成させる! ★上田市の長野大学社会福祉学部専門ゼミ担当の山浦和彦副学長のゼミ生
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上田市下之郷、長野大学社会福祉学部専門ゼミ担当の山浦和彦副学長のゼミ生6人は、記録集「若者たちへの伝言2023」を完成させ、同大学で披露した。
同記録集は「太平洋戦争の体験者」からの聞き取り調査などを行いまとめた。
同ゼミは今年度、長野県内外の72歳から102歳の戦争体験者7人から「疎開」をテーマに聞き取りを行った。
市内の戦争遺跡を巡るフィールドワークも実施。
活動で得た知識や思いをより若い世代に語り継ごうと市内外の小中学校や高校で授業を開くなど精力的に活動した。
地域をフィールドに学ぶ「信州上田学」の取り組み。
記録集の出版は昨年度に続き2冊目。
ゼミ長で4年の岡田輝さんが活動内容を報告。
家族で東京から上田に疎開した89歳の女性からの聞き取りで、上田空襲の後に上田から群馬県にまた疎開した時に「苦しくてどうしようもなくなった時、それ以上苦しまずに死ぬことができるように」と父が母に青酸カリを渡したというエピソードを紹介。 「戦争に巻き込まれることで、常に死を覚悟するような悲惨な状況になると知り、当時のことをより深く考えて若い世代に伝えていくことが大切なんだと感じた」などと話した。
山浦副学長は「戦時下の日常こそが、戦時下未経験のいまを生きるわたしたちを結ぶ共通のキーワード。ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルのガザ侵攻が起こり、かつての日本の状況と類似点を見いだすのに難しくない状況。いまこそ平和の尊さを見つめ直す時ではないかと思う」と述べた。
ゼミの学生は4年は岡田さんと高田一吹さん、柳沢駿太さん、小谷健人さん、3年の上野未来さん、伊藤果穂さん。
柳沢さんは「疎開先がマラリアの流行地だったり、いじめられていたというエピソードを聞き、疎開によって心や体をむしばまれた人がいたことを知った。語っていただいたことへの責任感を強く持って、次の世代につないでいきたい」。
小谷さんは「工場疎開について調べ、いまの上田の産業を支えている工場が戦争を契機として上田に来て地域に根づいていることを初めて知って、戦争といまは切り離せないものだと感じた。戦争経験者は高齢で、直接話を聞けるのは我々が最後の世代、より後の世代に語り継いでいくことが重要だと思った」。
伊藤さんは「わたしの周りの大学生の多くは戦争についてあまり興味を持っていないが、戦争があったことを忘れるとまた、同じ過ちを繰り返してしまう。わたしは来年度も活動を続けたい」と話した。
記録集はA4判48ページ。
200部制作。
市内の小中高校や図書館、公民館などに配布する。
長野大学のホームページで閲覧できる。
問い合わせは(電話)0268・39・0007(同大地域づくり総合センター)。