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「松平忠固と上田のまちづくり」              上田市出身・拓殖大学教授、関良基が語る!

テーマ:上田市ニュース

【大河ドラマにする会での関教授】
【冊子 上田市の偉人たち】

 昨年10月から12月まで上田市の原町一番街商店会が商店街めぐりの先人クイズを実施し、それにあわせて、ヤポンスキーこばやし画伯の魅力的なイラストで『上田市の偉人たち』という漫画冊子が刊行されました。
 同商店会の取り組みは、地域の力で先人の足跡を掘り起こし地域の魅力を高めていくことで上田のまちづくりに大きく寄与することでしょう。

 この漫画冊子の冒頭で取り上げられているのが松平忠固です。幕末の上田藩主であり、老中を二度務めて、日米和親条約と日米修好通商条約の締結を推進した開国派のリーダーでしたが、その事績は不思議なほど知られていません。
近年、徐々にその事績は再評価されるようになっておりその波乱万丈の生涯を知った方々の中から「大河ドラマの主役にふさわしい」という声が上がるほどになりました。
ヤポンスキーこばやし画伯の漫画を読んでいただければ、それだけの人物であることが分かっていただけるかと思います。

 昨年11月11日には、上田市内外の有志で「松平忠固を大河ドラマにする会」が発足し、第一回会合が開かれました。
その設立を呼びかけ当日の基調講演を行ったのが、東京都の会社経営者で忠固が主人公のドラマ脚本まで執筆された本野敦彦さんです。
本野さんは、翌日上田商工会議所で開催された先人シンポジウムで上田に「開国・生糸貿易資料館のようなものを作れないか」と提案していました。まったく同感です。

 私も同シンポジウムで上田の先人たちの地道な史料や史跡の掘り起こし作業が必要であること、さらに先人の足跡をめぐって地域間の交流を進めるべきこと、史跡を活用しながら街並みを保存し、絹遺産も活用しつつ蚕都にふさわしい歴史的景観の維持につとめるべきことなどを話しました。

 たとえば松平忠固が依頼し、横浜開港初年度に上田の生糸を一手に扱ったのがお隣の群馬県嬬恋村出身の中居屋重兵衛です。
嬬恋村と協力しながら事績の掘り起こしを進めていけるのではないでしょうか。
忠固の四男忠厚は、アメリカに渡って「エジソンに匹敵する」と言われたほどの発明家として活躍します。
忠厚は廃藩置県前には長野市川中島の領主であったことから、長野市とも協力できるでしょう。
 さらに絹遺産を活用しながら桑畑も復活させて地域を盛り上げていこうとしている「桑都」東京都八王子市の例なども紹介しました。
 「蚕都」上田も負けないような取り組みが必要です。
また、桑都と蚕都で交流するのも楽しいでしょう。

 このように開国のキーパーソン松平忠固の事績と生糸貿易の歴史を掘り起こしていくことで、日本や世界の諸地域とつながっていくことが可能であり、上田の魅力がさらに高まることは必定です。

 ぜひ多くの方々に関心をもっていただければと思います。